職務怠慢な社員を辞めさせたい

弊所では,中小企業における労働問題(問題社員対応,団体交渉・労働組合対策,未払残業代問題,解雇問題,メンタルヘルス・休職問題,ハラスメント対策等)について対応方法の提案や実施の支援をしております。

労働問題でお困りの経営者様やご担当者様は是非一度ご相談ください。

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1 神奈川県藤沢市内のA社からのご相談例

当社は藤沢市内のメーカー企業で、全国から受注をいただいている企業です。従業員は30名ほどの規模ですが、そのうち1人の正社員(B)の職務怠慢に困っています。

Bはもともと遅刻や早退、欠勤が多く、営業成績も振るいません。上司から態度を改めるよう指示を出しても反抗的な態度をとり、従う様子もありません。同僚とも協調せず悪口などを言っているようです。

小さな会社なので、1人がそういった態度をとると他の社員のモチベーションにも影響してしまいます。今後、全社における士気の低下だけではなく、退職者も出るのではないかとも心配しています。

Bの場合、無断欠勤は少ないので懲戒解雇はできないのでしょうか?

なるべく円満に本人を辞めさせるにはどうしたらよいのか、アドバイスをいただけますと幸いです。

 

2 「職務怠慢」で解雇できるケースとできないケース

A社からのご相談内容によると、Bには職務怠慢があるといえそうです。

  • 遅刻や早退、欠勤が多い
  • 営業成績が悪い
  • 上司に反抗的
  • 協調性に欠ける

こういった事情により解雇できるのでしょうか?

法律によると「職務怠慢」を理由とする場合、解雇が認められるケースと認められないケースがあります。

労働契約法により「解雇権濫用法理」が適用されるためです。

2-1 解雇権濫用法理

解雇権濫用法理とは、解雇するときに以下の2つの要件を満たさねばならないルールをいいます(労働契約法16条)。

  • 解雇に客観的合理的な理由がある

その従業員を解雇することについて、客観的でやむを得ない事情が必要です。単に成績が悪い、多少遅刻や早退が目立つといった程度の事情では解雇理由になりません。

  • 解雇が社会通念上相当である

解雇を回避するために充分な努力を行った上、手順をふんで相当な方法で解雇しなければなりません。注意もせず異動などの措置もとらずいきなり解雇すると解雇権濫用となってしまう可能性があります。

労働者にとって雇用は生活を維持するための非常に重要な契約ですから、使用者の恣意によって打ち切られると多大な影響が及びます。

そこで会社が労働者を解雇できるケースは非常に限定されます。

2-2 解雇が無効になったらどうなる?

解雇が無効と判断されると、従業員から「地位の確認」や「未払賃金」の請求をされる可能性があります。

労働審判や訴訟で負けると、会社内での従業員の地位を主張されるとともに、解雇後未払いとなっている賃金と遅延損害金を払わねばならないでしょう。

そのようなことにならないよう、解雇は法律の要件を満たすかどうかを検討した上で慎重に進める必要があります。

 

3 A社の場合は解雇が可能か?

A社の場合、Bを解雇できるのでしょうか?

裁判例では、従業員が無断欠勤を一定期間(2~3週間程度)以上続けると解雇理由を認めるものが多数です(福岡地裁小倉支部昭和49年8月1日など)。

Bの場合、無断欠勤は少ないということですから、状況にもよりますが遅刻欠勤のみを理由として解雇するのは難しい可能性もあります。

ただし同僚と協調しない、上司に反抗的などの事情がみられます。

裁判例では他の職員の業務を妨害したり悪口を言ったりしたケースで解雇を有効としたものがあり(東京地裁昭和40年4月28日など)、社長を誹謗中傷するメールを送付した社員や同僚の悪口を触れ回った社員の解雇を認めたものなどもあります(大阪地裁平成14年11月29日、東京高裁平成4年5月28日)。

Bの態度にもよりますが、今後も無断欠勤が続いたり上司への反抗的な態度や協調性の欠如が悪化したりすれば、解雇できる可能性が高くなるでしょう。

 

4 Bを解雇する手順

A社がBを解雇するとき、どのような手順をとればよいのでしょうか?

STEP1 まずは注意、指導を行う

まずはBへ注意をして態度の改善を促しましょう。必要に応じて個別指導や面談も実施すべきです。

これによってBの態度が改まれば解雇の必要はありません。

STEP2 配置転換や異動などの措置を検討

Bの態度が改まらない場合、配置転換や異動、降格などの別の方法によって対応できないか検討しましょう。

STEP3 退職勧奨する

他の方法ではどうしても解決できる退職させるしか方法がないなら、「退職勧奨」を行いましょう。退職勧奨とは、自主退職を促すことです。Bが自主退職すれば解雇にならないので、後に「地位確認」や「未払賃金」の請求をされることはありません。

STEP4 解雇予告を行う

退職勧奨にも応じない場合には、いよいよ解雇するしかありません。

その場合には、必ず解雇予告の措置が必要です。解雇を実施する30日以上前に解雇予告通知を送りましょう。解雇予告の日数が30日に不足する場合、30日分以上の解雇予告手当を払わねばなりません。

解雇予告の措置をとらないと不当解雇になってしまうので注意しましょう。

STEP5 解雇通知を送る

解雇予告を送って日数が経過したら、解雇通知を送りましょう。

なお、解雇後にBから「解雇理由証明書」の提示を要求されたら解雇理由を明らかにした書面を出さねばなりません。解雇の時点で解雇理由をしっかり説明できるように用意しておきましょう。

 

職務怠慢で解雇できるかどうかはケースバイケースです。自己判断で解雇すると重大なトラブルに発展するリスクも高まります。問題社員を解雇したい経営者さまは、1度弁護士までご相談ください。

 

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