フレックスタイム制で可能になる働き方とは?

1.時差出勤について

フレックスタイム制を導入すると、あらかじめ働く時間の総量を決めた上で、日々の出退勤時刻や働く長さを労働者が自由に決定できます。フレックスタイム制が向いているのは

  • 時差出勤を可能にしたい
  • 繁忙期と閑散期がある
  • ワークライフバランスを充実させて求心力のある会社にしたい

といった場合です。

労働者が働く長さを自由に決定できるとは具体的にどういうことかというと……
たとえば、

【社員のニーズ】新型コロナウィルス感染予防のために時差出勤したいし、子供の送迎がある時には早めに帰りたい

【会社側のニーズ】10時~15時は電話や来客が多いので、なるべく多くの社員にいてほしいという場合、下記図のような調整が可能です。

上記のフレックスタイム制を導入した場合には、

  • 10時~15時は必ず労働しなければならないが……
  • 月曜日は、電車の混雑を避けて10時に出社して、子の送迎のために15時に退社する
  • 火曜日は、月曜日は短めに働いたので、7時に出社して18時に退社する

というふうにして、社員のニーズと会社側のニーズを調整することができます。
このように時差出勤を導入したい場合にはもちろんですが、より重要なのは繁忙期と閑散期がある会社の場合です。

2.繁忙期と閑散期がある会社の場合のフレックスタイム制

(1)清算期間とは?

フレックスタイム制を導入した場合時間外労働に関する取扱いが通常とは異なることになります。1日8時間・週40時間以上 労働したとしても、ただちに時間外労働とはなりませんし、逆に、1日時短勤務したとしてもただちに欠勤となるわけではありません。
では、どのような場合に時間外労働となるのかというと、それは、清算期間内の法定労働時間の総枠を越えた場合です。たとえば、3ヶ月を清算期間とした場合には、

  • 3ヶ月全体で週平均40時間に収まること
  • 1ヶ月ごとの平均した労働時間が週50時間 をこえないこと

という二つの基準を満たす必要があります。

(2)3か月の清算期間とするメリットは?

清算期間は、従来、1ヶ月以内とされていましたが、改正によって3ヶ月を精算の期間とできるように改正しました。この改正によってJ社は次のようなことが可能になります。

  • 12月はクリスマスで忙しいので所定労働時間のラインを越える。
  • しかし、1月はそれほど繁忙期ではないから所定労働時間のラインを越えない。
  • 2月もまたバレンタインデーがあることから所定労働時間のラインを越える。

そこで、12月と2月の超過分を1月の不足分でいわば“ならす”ことができる。こうすれば、割増賃金を支払うこと必要が無いことになります。

3.部門ごとに忙しさの性質が異なる場合のフレックスタイム制

フレックスタイム制を導入する場合、対象となる労働者の範囲を設定することができ、合理的な労務管理をすることができます。もっとも、それによって職場内に不公平感が生じることもあります。そのため、不平等が生じないように全体の調和が必要になります。

4.どうやって導入すればいいのか?

フレックスタイム制を導入するためには、最大で4つのステップが必要になります。

  • 就業規則などへの規定
  • 就業規則を所轄労働基準監督署長に届出
  • 労使協定で所定の事項を定めること
  • 労使協定を所轄労働基準監督署長に届出(清算期間が1ヶ月を越える場合)

です。 労使協定締結の際に、対象となる労働者の範囲、清算期間等を設定することになります。やはりここは重要なところですので、労使で十分に話し合う必要があります。そのときに労働者に納得のいく説明ができる必要があります。

5.まとめ

コロナ禍で柔軟な働き方を認める企業が増えています。その中で旧態依然の働き方をつづけていれば会社の魅力は落ちてしまうことでしょう。いい人材にいてもらう、いい人材を勝ち取るためにはやはりフレックスタイム制の導入は不可欠です。
もっとも、フレックスタイム制は複雑な制度です。使用者の理解不足があれば思わぬところで割増賃金を支払う必要が出てくる場合がありますし、労働者との調整がうまくすんでいなければ不平・不満が溜まりかねません。
こうしたトラブルが起こらないよう、転ばぬ先の杖のためにぜひ弁護士にご相談ください。

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弁護士法人シーライト藤沢法律事務所

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