SNSが絡む労務管理のご相談事例

1 いただいたご相談内容

当社従業員がSNS上で第三者と言い争いになっている旨の情報提供がありましたのでその書き込み内容を検討したところ、当社従業員の書き込みに粗暴な表現がありました。

そのため、当該従業員から事情を聴取し、今後気を付けるよう言い渡しましたが、昨今の世間の情勢を考えるとほかにも相当数の従業員がSNSを利用していると思われます。今後SNSに関連してより大きな問題が発生するかもしれません。

そこで、注意喚起を図るための社内掲示案と、当社にはSNS等の利用を制限する規程がなかったためSNSの利用に関する社内規則案を作成しました。実際にトラブルが起こっておりますので、ある程度実効性のある規則が欲しいと考えております。アドバイスをお願いします。

 

2 弊所からのアドバイス

(1)SNS向けの就業規則の大幅な改定はあまりお勧めできません。

理由は様々ありますが、主に以下の2点です。

・SNSの流行やサービスの移り変わりの早さを考えると、いざ従業員が問題を起こしたときに修正が追いついておらず対応できないということになりかねない。

・就業規則の不利益変更には相当の費用と手間がかかるばかりでなく、それだけの手間と費用をかけたとしても労働法上有効な規定が必ず作成できるとは限らない(後に無効とされるリスクを完全に排除できない)。

 

(2)現実的な対応

就業規則上の規定としては一般的な規定を定めるに留め、今回ご検討されているような注意喚起の社内掲示のほか、「当社の見解」という形でガイドラインを示し、ネットリテラシーに関する社員教育を施していくという対応が良いかと思われます。

ガイドラインには、このガイドラインを遵守しないと法人ばかりでなくガイドラインを守らなかった個人にも予期せぬ損害が発生するので気を付けましょうという説明を載せると効果的であると考えます(要は自分も不利益を受けるかもしれないと自覚させる)。

 

また、「内規」という名称にすると就業規則の一部と捉えられかねません。

あくまで就業規則ではない。形式的には従業員を拘束するものではない。ただ、指針ないしガイドラインに違反すると、就業規則の規定に違反ないし抵触する可能性があり、懲戒処分の対象になる恐れがあるので注意してくださいね、という体裁にしていただくとよいと思います。

その上で個別の就業規則を整備することがおすすめです。

 

(3)実効性を確保しつつ規則という形で定めたいとのご意向について

ある程度実効性のある規則が欲しいとのことですが、あくまで会社が個人を規律できるのは業務に関連するもの、職場の秩序の維持に関連するものなどに限られます。

そのため、例えば「会社の名誉・信用を棄損するような行為」であれば、「従業員の私生活上の行為」であっても一定程度規律できますが、規律の対象とできることにも限界が出て参ります。

そして、単にSNS上の行為を「会社の名誉・信用を棄損するような行為」に結び付けて規律するのであれば、既に貴社の就業規則において「会社の名誉又は利益を害すること」を禁止しておりますので、SNSの利用に関する社内規則で列挙なさっている禁止事項に該当する行為が研究所の名誉又は利益をどの程度害したかを検討していけばよく、就業規則の改定が必須というわけではなさそうです。

どうしても規則という形で明確にSNS利用における禁止事項を定めたいということであれば、どのような条項を作りたいのかを詳しくお聞きした上で、無効な規定とはならないラインを十分に吟味してSNSの規則を弊所にて作成させていただくということとなろうかと思います。ただし、必ずご満足のいく規定が作れるとは限らず、費用とお手間も相当程度かかることはご承知おきください。また、SNSは変化が早いので、変化に対応するため、最低でも年に1回はSNSの規則を見直す必要が出てくると思いますので、この点についても費用とお手間がかかることにご留意ください。

従業員のSNSトラブルに対して企業の取るべき対応策はこちら
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弁護士法人シーライト藤沢法律事務所

弊所では紛争化した労働問題の解決以外にも、紛争化しそうな労務問題への対応(問題社員への懲戒処分や退職勧奨、労働組合からの団体交渉申し入れ、ハラスメント問題への対応、)、紛争を未然に防ぐための労務管理への指導・助言(就業規則や各種内規(給与規定、在宅規定、SNS利用規定等)の改定等)などへの対応も積極的に行っておりますのでお気軽にご相談ください。

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