休職の仕組み

1.休職規定の仕組み

休職規定では、対象、事由、期間、賃金、休職期間満了時の処遇について定められていることが多いです。

具体例

対象

従業員

事由・期間

業務外の傷病……最長6ヶ月
事故……最長3ヶ月

賃金

支払わない

休職期間満了時の処遇

原則として現職に復帰させる。
ただし、復帰できないときには退職するものとみなす

2.「復帰できない」とは?

(1)どうして争いになるのか?

多くの会社では、休職規定として「復職できない」「治癒しない」ときには退職とみなすものが存在します。

例えば、X社が、Aは後遺障害のためにもうドライバーとしては「復職できない」ことから退職扱いとしたとします。その場合、Aは「いや、ドライバーとしては無理でも、他の仕事、たとえば事務作業や営業としては働くことができるし、「復職」できる」と主張して争いになります。

そこで、「復職できない」の意義が争われることになります。

(2)ポイント

ここで重要なのは、Aを雇った経緯、Aとの雇用契約の内容等です。

たとえば、Aが次のような経緯で雇われたとします。
【1】Aは、5年前に新卒採用された。はじめは事務作業をやらせていたが、トラックドライバーが不足していて、Aが若く体力もあったことから免許をとってもらってトラックドライバーとなってもらった。

【2】Aは、もともと別の運輸会社で10年間トラックドライバーとして働いていた。Aは、前の運輸会社の給与に不満があってX社に応募してきた。X社としても、Aの経験を見込んでトラックドライバーとして採用した。

(3)裁判例の動向は?

裁判例(大阪地判平11・10・4労判771号25頁、大阪公判平13・3・14)は、以下のステップを踏んで「復職できない」かどうかを判断しています。

①労働者の職務が労働契約上特定されているか。
②職務が特定されていない場合(=【1】のような場合)には、配置換え等により現実に配置可能な業務があるか。
③職務が特定されている場合(=【2】のような場合)であっても、比較的短時間での復帰が可能であれば、短期間の復帰準備時間を提供して、教育的措置をとることが必要である。

したがって、【1】の場合には、Aに事務作業をさせる、営業をさせるといったことができるかどうかを検討しなければなりませんし、【2】の場合には、あとどれぐらい治療すればトラックドライバーに戻ることができるのか、改めてAから聴取しなければいけません。

3.どうして判例はそのような判断をしたのか

裁判所の態度は、日本の雇用慣行の特徴を反映したものです。
日本の雇用慣行は、新卒一括採用⇒ジョブローテーション⇒定年というながれをたどります。企業は、雇った若者を様々な部署に配置換えしてOJTしたり、必要な部署に人員をふりわけていく……

こうした雇用慣行からすると、たまたま休業直前についていた職務を基準として復職できるか否か、治癒したか否か、を判断するのは妥当ではない、ということになります。

4.まとめ

復帰できる、治癒したというところは、トラブルになりやすい部分です。また、休職規定をなおざりにしていると、思わぬところで足をすくわれる危険があります。「この労働者どうすればいいのだろう」「今の休職規定で問題ないだろうか?」とご心配な方は弁護士にご相談ください。

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弁護士法人シーライト藤沢法律事務所

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